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みきちゃんはザー!という音で目が覚めました。
「おはよう。みきちゃん!今日は大雨警報がでてるから 学校おやすみだって。」
おかあさんがいいました。
「えー!今日のホームルームは外でお楽しみ会だったのに!」

「あら?そうなの?残念ね。」
「2学期最後のホームルームだからみんなの好きなことやっていいよって先生に言われたんだ。」
「そうなのね。何をする予定だったの?」

「クラスのみんなでドッジボールをする予定だったの。あーあ。」
そういってみきは朝ご飯を食べるためにテーブルにつきました。
「楽しみににしてたのにななんで今日に限ってこんなに雨降るかなー。」

「ほんとついてないわねぇ。」
お母さんはふふふと笑いました。
「まあ家でゆっくりしてて。」

「あら?もうこんな時間。お母さんは警報が出てもお仕事にいかなくちゃならないから。みきちゃん一人でお留守番よろしくね!」
「はーい。いってらっしゃい。」

お母さんはバタバタと家を出ていきました。

ザーという雨の音だけが聞こえます。

「あーあ。ひまだな。家でゆっくりなんてつまんない!雨なんて大嫌い!」
みきちゃんはさっと朝ご飯をすませ、自分の部屋にもどりました。

「もう一度ねちゃお。」
みきちゃんはベッドに横になりました。

ザーーーという音がますますおおきくなりました。
「雨がうるさくてねむれないよ。」

その時、ザーという雨の音にまじってコツコツと音がしました。

「なにかしら?気のせいかな。」
するとまた音がしました。コツコツ

みきちゃんがまどの方に目をやると・・・
「え、カエル?」
そこにはみどり色のカエルがいました。
しかも変なことに2本足でたっています。

カエルは手の甲でガラスをコツコツとたたいています。

「変なの。」
みきちゃんはまどをあけました。
ザーという音がさらにおおきくなります。

「ありがとうございます。今からコンサートの予定でしたのに、大雨でまいりました。」
かえるは部屋の中にはいってきました。
「あ、あんたなに!?」
「わたしはカエルです。雨がひどいのでひとつ、あまやどりさせてください。」
カエルはぺこりとおじぎをしました。
「わたしは雨がきらいなんですよ。むしむししててうっとうし、濡れるとぬるぬるして嫌でしょ。」

「え、かえるなのに雨がきらいなの?」
「そうですよ。カエルにだって嫌いなものもおります。」
カエルはむっとしたようすでいいました。

「あはは、それ、へんよ。カエルが濡れるのきらいだなんて。」
「あまやどりさせてもらってる手前、申し訳ありませんが、あなた失礼ですよ。
私は音楽家ですからね。雨の音は私の頭の中を雨雲で覆うんです。創造の邪魔になるんですよ。私は作曲もするもんですから。」

「ふーんそうなんだ。」

「どうです、お礼に一曲お聞かせしましょう。」

カエルはまた両足ですくっと立ち上がり、深々とお辞儀をしてから、クェークェーと不思議な声でうたいはじめました。
そしてそれは聞いたことのないような不思議なメロディーでした。
その歌声はザーという雨の音と合わさって、部屋の中が別の空間になったようでした。

「とてもいい曲だったわ!」
みきはパチパチと拍手をしながらいいました。

カエルは得意げにお辞儀をしました。

「私は音楽のことはよくわからないけれど、あなたの歌は雨の音とよくあっていたわ。」

「ふむ。皮肉なものですな。」

気が付けば雨はやんでいて、雲の合間から太陽の光がさしこんでいました。

「おっと、わたしはそろそろいきます。」
カエルはまた、すくっとたちあがり、器用にまどをあけました。
「それでは失礼します。ありがとうございました。」

かえるはそういうとピョンとびだしていきました。

「なんだ、雨もわるくないじゃん。」
そらを見上げると虹が出ていました。

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