ララは急ぎ足で家に帰っています。
「おばあちゃん、もうきちゃってるかな。久しぶりにおばあちゃんに会える!」
ララは走りだしました。
「今日はおばあちゃんに魔法をみせてもらうんだ。」
玄関を開けると、つま先のとがったブーツが、玄関に一足並んでいます。
「おばーちゃん!!ただいま!」
「おかえり。ララ。帰ってくるのがわかっていたよ。」
おばあちゃんの穏やかな声が家の奥から聞こえてきたかと思うと、おばあちゃんはどこからともなく現れました。
「おばあちゃん会いたかった!」
ララはおばあちゃんにかけよりました。
「うふふ、魔女見習学校の勉強はがんばっているかい?」
おばあちゃんはにこりと笑いました。
おばあちゃんは黒っぽいローブのような服を着ています。
「うん!頑張ってるよ!でも簡単な魔法ばっかりでつまんない!」
「そうかそうか。何事も基本が大事じゃからな。」
おばあちゃんはララの髪をなでてくれました。
「なにか魔法みせて!とびきりすごいやつ!」
ララは興奮しなふがらいいました。
するとおばあちゃんは魔法の杖をとりだし、さっと一振りしました。
すると、
いい香りの紅茶と、おいしそうなマフィンがテーブルの上に現れました。
「お茶にでもしようかの。」
「わー!おいしそう!!おばあちゃんは本当にすごい魔女ね!学校の先生もママもこんなことできないもの!」
「そうじゃとも。」
おばあちゃんは得意げに微笑みました。
それからララはおばあちゃんとたくさんのことを話し、たくさんの魔法をみせてもらいました。
「おっと、そろそろかえらなくちゃ。」
「えー!もうかえっちゃうの!?」
「お客さんを待たせるわけにはいかないからね。」
おばあちゃんはさっと杖を一振りすると、黒っぽいローブがかわいいお花柄のワンピースにかわっていました。
「え、おばあちゃんまさか歩いて帰るの!?」
「今日はいい陽気だからね。歩いて帰りたくなっちゃったのさ。」
「おばあちゃんなら箒で家までひとっとびでしょ!わざわざそんなめんどくさいことするなんて変よ。」
「魔法ばかりつかってちゃつまんないだろ?」
「そんなことないわ!魔法があればなんでもできるのに!なんでも手に入るのに!」
ララは声を荒げました。
「そうでもないさ。ララと過ごした今日のような時間なんてのものもそうさ。」
そういってララの髪をもう一度なでると、おばあちゃんは玄関をでていってしまいました。
「おばあちゃん、なにいってんだろ。意味が分かんないや。あれだけ魔法が使えればなんだってできるのに。」
ある朝、
「ララ、おばあちゃん亡くなったみたい…。」
お母さんが泣きながらいいました。
「うそ…おばあちゃんが…。あばあちゃんはどんな魔法もつかえるすごい魔女なのに…。ほんとうに死んだの…?」
ララはお母さんとおばあちゃんの顔を見に行きました。
「おばあちゃん寝てるたい……。」
ララは魔法では手に入らないものが何かやっと分かりました。
終わり
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